バンクーバー五輪男子FS。

明日はアイスダンスCDなのか。
<スケジュール>
http://deep-edge.net/ts.php?no=14&c=4&seg=1
うーん、テサモエが最終滑走だなんて歓声が怖い。
ファンだからがんばれーと思いつつ、
テサモエが活躍しないとロシェへの歓声がもっと怖くなるという
二重の意味で心の底からがんばれと思います。


選手ごとになんか書いてみるのはやーめた。
だって予想した結果じゃなく希望予想になっちゃったもの。
限りなく私の妄想に近いことが現実になった。
たぶんこんな幸せ者は数少ない。
エヴァン君のファンも少ない。
そして、私が思っていることは正解ではない。
だから純粋に、ひとりごちて喜ぶのだ。
ずっとファンだった選手が金メダルを獲った。
それがどんな過程であってもファンが喜ぶ権利くらいあるっしょ。


2005年の世界選手権でファンになった。
ちなみにSPの記憶はない。当時観たはずなんだけど覚えてない。
FSを観て、一発でファンになった。
ちなみにこの年のワールドは1位ステファン2位バトル3位エヴァンという、
今考えれば私のための大会かしらというほど魅力的な顔ぶれだったんだね。
エヴァン君はこのメンバーの中、初シニア国際大会で3位だった。
ジャンプを降りるたびに投げ出されたフリーレッグは長く美しかった。
今まで見た誰のジャンプよりも綺麗に見えた。
それは今も変わらないね。
見た目は随分と変わったけどね。
さらに長く黒くなったもんね。
(マーシャルの映像くらいしかないな。一応貼っとこう)

曲は「雨に唄えば」。選曲も私好みだった。


それからずーっとファンなんだよなー。
05年で背が伸びたと思うんだ。伝説の凸凹表彰台もこの頃からだし。
エスパーニャ・カーニ」を使いまわしたときは笑ったなー。
翌年「カルメン」を使いまわしたときはもっと笑った。
どんだけスパニッシュ好きやねん。
そして気付けば黒くなった。趣味に「サーフィン」が付け加えられた頃ね。
演技が華麗からダイナミックや情熱的に変わったのもこの頃か。
髭生やしてみたり、オールバックにしてみたり。
06-07シーズンからは辛い時期だった。
全米で綺麗に成功した4回転からのコンビは世界選手権で決まらず5位、
07-08シーズンは怪我に泣いた。世界選手権は欠場。
08-09シーズン序盤はアクセルにケチを付けられて沈んでいった。
それから09年世界選手権、跳んだ3Aは綺麗になっていた。
修正したんだよね。
短期間でよくぞここまで、と思ったよ。
綺麗になった3Aには加点が付いた。
フリーレッグの処理はいまだに一番綺麗だと思ってる。
ついでに、スピンもステップもスケーティングも上等だ。個性もある。
4回転がなくても、優勝したのは当然だったと思ってる。


回想終わり。


男子FS最終グループ第一滑走。
4回転は回避。怪我のこともあるだろうし、
全米で無理矢理跳んだ4回転を観て、五輪で跳ぶことはないとわかっていた。
跳ばないという選択はメダルから遠のくということでもある。
だけど、このレベルの4回転じゃもっと遠のく。
だからこそノーミスに賭けるしかメダルへの道はない。
そんな中、エヴァンの演技は完璧ではなかった。
3AはSPとは違って加点が付かない、もしくは減点されるものであり、
何よりスケーティングがいつもの滑りではなかった。
遅い、と思った。
テンションがあがって雑になるよりはマシかな、
と思う程度に丁寧な滑りではあったけど、パーフェクトではない。
ジャンプを全て降りただけで勝てるほどに五輪って甘いだろうか。


インフレ採点と化した五輪の採点でエヴァンの得点は伸びた。
それでも所詮第一滑走。4回転を入れる選手がノーミスなら抜かされる。
高橋とプルシェンコの演技次第で銅メダル、
ステファンが想像より良い演技ならトリノと同じ4位に終わると思った。


ステファンの演技。
着氷こそヒドイものだけど、2回跳んだ4回転の回転は足りているし、
何よりもステファンなのでそこそこの得点は出る。
実際、スピンとステップの加点とPCSは出た。
サーペンタインのステップではレベル4。史上初だね。
ただ、SPで付いた得点差が埋められるほどではなかった。


高橋の演技。
4回転を転倒した時点で、あ、エヴァン勝った、と思った。
同時に、コケんなよ、とも思った。
4回転の得点とディダクションとして10点足せば金メダルだった。
パーフェクトならPCSももうちょい上がって余裕の金メダル。
結果銅メダルは心からおめでとうなんだけど、
コケるなら挑戦すんなよという視聴者視点の感想も正直ある。
私の中で、4回転回避の選手が優勝することに対する恐怖感があったから。


プルシェンコの演技。
プルだって人間だ、と言われても、
長らく転倒なんて見ていないので転ぶ気がしない。
実際、4回転を含む全てのジャンプを降りた。
さすがとしか言いようがない。なんだか嬉しいから不思議。
ただね、このジャンプはヒドイよ。
私が知っているプルのジャンプではないもの。
ほとんどのジャンプが「降りてる」ってだけだもの。
当然加点は付かない。
プルの得点が伸び悩んだのはつなぎを捨てたプログラム構成だからじゃない。
むしろSPに比べればPCSを貰った方だもの。
プルの4回転は最強だった。ただ、それ以外のジャンプはダメダメだった。
そういうことでしょ。このジャンプで勝つのは無理だよ。


プルシェンコの得点が出たときの私の喜びようったらない。


最終グループの間、いっぱい考えた。ジャッジじゃない素人が考えた。
4回転を回避して五輪チャンプになるのはどうだろうか。
でもでも、荒川さんだって3-3を回避して金メダル獲ってるじゃないか。
挑戦するだけで終わる選手が悪いんじゃないか。
エヴァンはエヴァンの演技をした、他の選手は誰も出来てないじゃないか。
だいたい、ルールはルールだ。
採点競技には採点基準があるんだから、
それに即したプログラムを作ってそれを滑って勝つことの何が悪いのか。


考えたことに大した意味はなかったね。
すっげ喜んだもん。金メダルだー、わーいって感じで。
今も喜んでるもん。まだ嬉しくって仕方がなくて眠れないレベルで。


4回転、というより大技と言った方が適切かな、
大技に挑むこととグッドウェルバランスを追求すること、
現行ルールは間違いなく後者に重きを置いている。ことシングルに関しては。
新採点ルールが施行され、トリノを経て4年経ち、
ルールが改正されるたびに「なるほど」と「苛立ち」を繰り返し覚えてきた。
GOE加点という概念を加えることでジャンパー以外にも勝機ができた。
美しいスケーティング重視の改正で深いエッジを使う選手が増えた。
要求項目が増えたスピンで従来の美しい単一姿勢スピンがなくなった。
大技がハイリスクになったことで回避を迫られる機会が増えた。
もうね、色々ありすぎて書ききれないよ。
ただ、これらのルール改正はどの選手にも有利だったり不利だったりする。
目指すところは正しいスケーティングで大技から小技まで利く選手。
そんな選手いなかった。一人もいなかった。
レベルが低かったんじゃなくて、そういう選手は未来にいるんだと思う。
これからの話。
今はルールも選手も過渡期。
ペアとダンスも含めれば言いたいことが山ほどあって当然だ。


その上で、
今回はグッドウェルバランスに「だけ」重きを置いたエヴァンが勝った。
高橋にだけ強く強く4回転を跳べ!と思い続けたのは、
高橋だったら現行ルールが求める高い要求に応えられると思ったから。
大技「だけ」に重きを置いたプルよりも、他の誰よりも。


勝ちは勝ちだもん。
強いのが誰かを競ってるわけじゃないから。
勝った人が勝ったの。
私は私の好きな選手が勝ったから遠慮なく喜ぶもん。
嬉しかったんだ。
せんべいみたいな金メダル貰ってさ、
なんでか知らんがシェンツァオからも祝福されてさ、
シェヘラザードにさっぱり繋がらない黒い蛇の衣装着てさ、
横でキャロルが嬉しそうに微笑んでてさ、ローリーも笑顔でさ、
それでファンの私が喜ばないのは嘘だと思う。
嬉しい気持ちをありがとう、そしておめでとう。
エキシではラプソディーインブルーがいいな。
それか全然関係ないけどゾロ。あのツイズル好きなのよ。


嬉しかったから写真貼っておこう。





プルのこういうとこは好きだ。
(1位の表彰台に乗ってから2位の台へ移動するプル様)

五輪に波乱と喧騒をありがとう。
プルのおかげで大会が盛り上がり、選手の士気が上がったんだと思う。
4回転は天才的に最強で、プルはプルだった。
あと、人間ぽいとこもたくさん観られて面白かった。
有終の美を飾って引退した後エラそうにふんぞり返るより、
身を削って若手をバカにするような態度の方が好きだ。
単なる伝説で終わるよりかっこいいじゃん。
イラっとするけどな!