バンクーバー五輪女子FS。っていうかロシェ以外の選手と愚痴。

前半、というかほとんどがただの愚痴で構成されておりますので、
不快に感じる方もいるだろう、というような内容です。
愚痴るくらいならフィギュアスケートもう見るなよ、と自分でも思いますが、
好きなのでこれからも見ます。


<リザルト>
http://www.isuresults.com/results/owg2010/


金メダルはユナちゃん。
数年前まで勝てなかったのはFSで体力が持たなかったからであって、
昨季の世界選手権で体力面が十分に成長したとわかった時点で
五輪の金メダル筆頭候補であることは間違いなかった。
問題があるとしたら初五輪に対するプレッシャーというメンタル部分。
で、メンタルがすっっっげー強かった。
今までで一番良い演技だった。そんなの勝つに決まってる。
速いスケーティングで高いジャンプをなんなく降りるその演技は
現行ルールで高い得点を得るためにもっとも必要なもの。
特に3+3の高さと幅は他の女子選手と比べてしまえば、
高い加点を付けざるを得ないのだろうね。
他のジャンプもやたら高くてやたら跳ぶ。それなのに降りる。
普通あの速度で滑って降りられるとは思えないジャンプを
すべてビシっと決める姿はかっこよかった。


その上で、愚痴。
GOEってなんぞや?
いや、意味は知ってるけど。
ユナちゃんレベルのジャンプに+2.0が付くのはわかるんだ。
ただね、ジャンプって7回もあるの。
7回ほぼ全てに加点されたらさ、ジャンプ以外で得点稼ぐ方法ないじゃない。
ジャンプは人並みくらいしか跳べないけど、
スピンは得意だよ!スケーティングは得意だよ!って選手が勝つ方法がない。
スピンでどんなに加点を貰ってもしょせん3回しかないし、
スケーティングを生かした振り付けでもPCSはちょっとしか差が付かない。
それってフィギュアスケートかなぁ?
これだけ高いGOEをジャンプに付けられると、
それはただのジャンプ大会だと思うんだ。
ユナちゃんを観ていると、凄い!とは思うけど、素敵!とは思わない。
最近のアイスダンスのリフトと同じ。
ソルトレイクの頃に見た色っぽくていいわーというアイスダンスはもうない。
リフト凄い!って演技に得点が出る。だからみんなやる。
アイスダンスにおけるステップはもう重要視されていない。
それはとてもスポーツらしくわかりやすくて良いのだろうけど、
どうしてもフィギュアスケートだと思えない。


ユナちゃんの演技は素晴らしかった。
SP・FS通して最高の出来だった。間違いなく金メダルだ。
たとえ他の選手がノーミスであったとしても、だ。
ただ、ルールに基づいて稼いだ228.56点に値する演技だったかな?
だって、もしユナちゃんが2回転倒しても金メダルだもの。
ジャンプに対する加点比率が多すぎて萎えてしまうよ。
他選手のジャンプの質が低いから悪いと言われればそれまでだけど、
私はジャンプだけのフィギュアスケートが好きじゃないんだ。
質が良いジャンプを評価する傾向が強すぎて、
得点にならない、もしくはなりにくい部分を鍛える必要がない。
私にとってフィギュアスケートの好きな部分がおざなりになっていく。
(ユナちゃん含む)今の選手にもそういう部分が得意な選手はいるのに、
みんなしてそれを捨てていくのかな、と思うとやりきれない。
少なくとも、アイスダンスはそうなってしまった。
きっとシングルもそうなるんだろう。


銀メダルはまおまお。
まおまおを観てると悲しくなってくるという病にかかっています。
そのために以下は皮肉と嫌味を含みます。
SPを観て少しホっとした。3Aが綺麗だったから。
FSを観てやっぱり悲しくなった。3Tをミスしたから。
まおまおのことがどうしても好きになれないのは、
サルコウを跳ばず、ルッツのエッジ矯正をしなかったから。
結果、まおまおのFS構成には元々4種類しかトリプルが入っていない。
3Aを含めての4種。ものすごい賭けだと思うし、
その賭けに勝てるというのならそれはもう仕方ない。
だから3Aが(コンビジャンプはともかく)綺麗だったのは凄く良かった。
でも、実際は3Tを抜かしたことで、実質3種のトリプルしか跳ばなかった。
それでも銀メダル。
5種トリプルは女子シングルにとって栄光だと思っていた。
ルッツとフリップの跳び分けが重要視されはじめてからは、
5種ジャンパーと呼べる女子選手は世界で数人しかいなくなった。
3Aと5種トリプルのどちらが凄いなんてことはないけれど、
ルッツやフリップのエッジ矯正中にジャンプ全般を崩す選手を見ては、
5種トリプルがいかに凄いことなのかを痛感した。
でも、ルール上にたいした意味はないんだよね。
3種でも銀メダルを獲る方法があるんだから。
まおまおの演技はそういう意味をはらんだもの。
私には、5種ジャンパーをバカにしているようにしか見えなかった。
それがまおまおにとって勝つためにとった戦略だったとしても。
3Tをミスした後は悲しくて仕方がなかった。
どれだけまおまおのスケーティングがなめらかに滑ったとしても、
スピンやスパイラルで柔軟性を生かしたポジションをとっていても、
「3種なのに得点は出るんだろうな」と思うだけで悲しかった。
エッジエラーに関するルール改正は4年前からわかっていたこと。
あれから4年間、まおまおがルッツを矯正することはなかった。
そして、五輪シーズンにはきっぱりと捨てた。
その代わり、3Aひとつに賭けた。
私には、そんな3Aが素晴らしいものには思えない。
伊藤みどりの3Aと同じ価値にも到底思えない。
伊藤みどりは世界で歴代女子唯一の6種ジャンパーなのだから。
ソチ五輪までは4年もある。
それでもまだサルコウとルッツを捨て続けるのであれば、
そんな選手を好きにはなれない。
同時に、金メダルを獲って欲しくもない。
理由は凄く簡単。
私の好きな選手が5種ジャンパーだから。
偏った意見であることはわかっています。


銅メダルはロシェ。
前記事に書いたので手短に。
ユナちゃんとまおまおにないものを確かに持っていた。
ロシェがプログラムに入れた数多くのつなぎや、
スケーティングだけで魅せる力、そして5種のトリプル。
それらが観られただけで幸せ。
ちゃんと評価されたことも幸せ。


4位はミライちゃん。
演技と関係ないけど、キャロル優しいね!
エヴァン君には平手打ちしながら練習してるなんて記事を読んだのに、
ミライちゃん相手ならニッコニコじゃないか!
お爺コーチは孫に優しいんだなぁ。まあ優しくもなるよね、というくらい、
良い意味で気を抜いた、そして出来の良いFSだった。
ここ数年で明らかに伸びた身長をものともしない安定したジャンプと
速いスケーティング、肩から動かせる腕の表現力、柔軟性、
のびしろがたくさんある素敵な演技でした。
トリノ五輪のキミー枠として考えると今季のワールドあるかしら?
SPで3+3を跳べるともっと良かったなー。
あと、PCSがSPとFSでフラットとひっくり返った理由を伺いたい。
ミライちゃんにじゃなく、ジャッジに。SPのPCS、低すぎだよ。


5位は美姫ちゃん。
FSでも3+3を跳んで欲しかったというのが率直な感想。
ただ、美姫ちゃんは難易度を落とした完璧な演技を望んでいた。
モロゾフに言われた上での変更ではないらしいから、それだけは良かった。
上手く、そして強くなったなーと思う。
美姫ちゃんは跳べるときは気持ちで跳べちゃうジャンパーなので
ジャンプのたびに私は目に力を入れて見るようなことはしない。
跳べたら跳べたでいいし、跳べない日は跳べないで今日はそういう日か、と
不思議なくらい落ち着いた気持ちで見ている。
だけどスパイラルだけは別。すごくすごく苦手だから。
FSのスパイラルは4年前の美姫ちゃんからは想像が付かないほど綺麗だった。
スピンもそう。美姫ちゃんが五輪の舞台でレベル4を揃えた。
毎年成長を見せるのがコーチの役目だとモロゾフが語っていた。
その通りかもしれないと思ったよ。
演技を終えた瞬間、私泣いてたもの。
演技が良かったとかじゃなくて、何かに感動した。
美姫ちゃんの強さとか、そういう形がないものに。
次はステップが良くなるといいなぁ。
追記。
新衣装はSP・FSともにさすがのフォトジェニックぶりでした。
アレらを着こなせる人はそうそうおるまい。
美しいプロポーションも才能の一種だから、美姫ちゃんは凄いんだ。
FSはリンクのフェンスとダブっていたけどね!フェンスのバカ!

ついでにSPも。肩のヒラヒラは動いてナンボだなー。



長くなったので以下サクサクっとメモ。
6位ラウラちゃんと7位レイチェルはとにかくノーミスなのが凄すぎです。
若い子、そして女の子は強い。男子は見習った方が良い。
あと、レイチェルの冒頭3+3は認定しても良かったと思うよ!
アメリカ女子でeマークが付かないジャンプが跳べるって希少価値高いなぁ。
8位あっこちゃんはもう色々と良い部分がありすぎる。
この演技でも入賞外というのがありえるくらい、
きっちりと自分の出来ることを少ないミスでまとめる選手がひしめく中で、
要素をこなす以上のこともできていたあっこちゃんが入賞したのは
とても嬉しい出来事でした。ポニーテールが良くお似合い。
来年までは続けるよね?ようやくPCSが伸びる兆しも見えてきたねぇ。
入賞外だと、13位のクァク・ミン・ジョン?が印象に残ったかな。
細すぎるくらいの体でジャンプの軸をしっかりとるのが面白かった。
表現力もありそうな気がする。
あと14位のゲデちゃん。
私が熱望した3+3+2が認定はされなかったけどちゃんと降りた。
手を叩いて喜びました。五輪に強い子だと認識しました。


フォトジェニックな美姫ちゃんの画像でおしまい。
五輪での公式練習写真。
カメラマンも美姫ちゃんがスタイル良いってわかってるんだろうな、と。