バンクーバー五輪ペアFS。

夫婦でついに果たした夢=王国阻み、中国に初の金〔五輪・フィギュア〕
 15日にフリーが行われたバンクーバー五輪フィギュアスケート・ペアで、ショートプログラム1位の申雪、趙宏博(中国)組が優勝し、中国に五輪フィギュア初の金メダルをもたらした。ロシアペアの五輪13連覇を阻んでの快挙だった。
 4度目の五輪で、ついに表彰台の中央へ。演じ終えた瞬間に感極まって顔を覆った趙は、まず隣の妻に感謝した。「ありがとう」。妻の申は「心を込めて滑った」と夫と果たした夢に浸った。
 芸術性を示す演技構成点の3項目で驚異の9点台が並んだ。美しく滑り、ずっと欲しかった五輪の金メダルを手にしたら、喜びとともに力が抜けた。次の目標は? 「滑り続けるには年を取り過ぎた。子供を授かるときが来たかな」と言った夫の横で、妻は幸せそうに笑っていた。

子作り宣言!お幸せに、以外かける言葉がないね!





<競技結果>
http://www.vancouver2010.com/olympic-figure-skating/schedule-and-results/pairs-free-skating_fsx020101Po.html


何が良かったって試合として良かった。
面白かった楽しかった感動した。
以下、言葉が安っぽく聞こえるくらい「感動した」を繰り返します。
だって本当にそうなんだもの。
良い意味での感動と悪い意味での感動を色々織り交ぜて。
感動した要因の一つは間違いなく実況が良かったから。
フジテレビの西岡アナにはこれからもフィギュア実況をお願いしたい。
刈屋さんより良かった。今まで聞いた中で一番良い実況だった。
豊富な知識はルール・プログラム・ゴシップと多岐にわたり、
それらをあくまでも静かな実況の中にちょっとずつ入れて、
ときには感動したのか上擦った声で必要な言葉だけを伝える、という
理想の実況をフジテレビのアナウンサーが出来るとは夢にも思わなんだ。


フィギュアスケートの中でペアが競技として一番好きだと再認識。
ペアは二人で滑るから、成功して喜ぶのも失敗して慰めあうのも二人。
しかもこれは4年に一度の五輪。
そう簡単に、また次の試合があるよね、来年があるよね、とはいかない。
引退や解散する選手をはじめ、反省しておしまい、な状況じゃない。
SPと違ってミスが多く出たFSでは
演技終了後抱き合ったままの選手が数多くいた。
そんなんさ、感動せずに観る方が難しいぜ。


以下、入賞組の感想ですがすごく長いです。


11番滑走ヴォロモロ。SP9位・FS8位・総合8位。
モロのジャンプが。ソロジャンプが…。
それでもなんとか3+3は跳べたし、スロウジャンプは決まったし、
何よりリフトとスピンがとても良かった。
ソロスピンが合った数少ない組だね。
モロの力を生かした片腕軽々リフトが魅力的。
そうなんだよ、ヴォロモロにしか出せない魅力はあるんだよ。
だけど得点でどうしても伸び悩む。
この動きいいなと思うたびにそのことが悲しくなる。
ヴォロモロはタチアナちゃんが引退しないとしても解散かな?
ワールドに出るのなら、せめてジャンプを決めて欲しい。


とんで14番目ちゃんず。SP5位・FS4位・総合5位。
冒頭のソロジャンプ2A+3Tのセカンド3Tをハオ君が転倒。
大切なのは2Aの着氷でブレても3Tを無理矢理跳んだこと。
ソロジャンプは片方にミスがあった場合、
ミスした側のジャンプを実施したとみなされる。
2Aがグラついたからといってジャンプをやめてしまえば、
一気に得点がなくなる。前大会銀メダリストの執念。
シェヘラザードはちゃんずにはどうだろう?と
プログラム自体を疑問視していたのは大会前、
終わってみればちゃんずは「グっとくる」という言葉にはできない演技を
丁寧に丁寧に滑る組になっていた。感動させる演技が出来てた。
綺麗になった丹ちゃんとゴツさがとれてスケーターらしくなったハオ君は
4年後にきっと金メダルを目指せるね。
ツイストとスロウジャンプは圧倒的に華やかだった。


15番目ムホトラ。SP8位・FS5位・総合7位。
ソロジャンプで転倒。ソロジャンプに泣く組が多かったなぁ。
今日はポジションの美しさが際立ってた。
ロシアらしい動きだけど濃すぎずに、マリアの可憐さを引き出して。
それでもPCSは8点台に乗らなかった。
ジャンプさえ決まれば得点は伸びるはず。
24歳と26歳ならまだ先がある。円熟期を迎えた演技も観てみたい。
ジャンプが決まらないと観てるこっちまで悲しくなってくるよ。


16番目デュベデビ。SP6位・FS6位・総合6位。
カナダ組はソロジャンプのサルコウが決まらない法則でもあったのか。
悲しくなるような曲を使わないでよ…。泣いちゃうじゃん。
出だしは好調だったのに。ソロジャンプを転倒してからの悲壮感と
地元の大歓声に応えるよう必死で着氷に耐えたスロウジャンプが
曲とあいまって物凄く悲しい。
それでもスケーティングは綺麗だった。
4年前もそうだった。ハツラツさと思い切りだけでこなす要素の間に
綺麗な綺麗なスケーティングがあったからファンになったんだ。
だから、涙目にならないでよ。そんなジェシカちゃんは見たくないよ。
(書いてたら思い出してきたのでここでやめよう。私泣きすぎ)


そして最終グループ。
17番目川スミ。SP3位・FS7位・総合4位。
FSは7位だったのか。演技前、タマラと話す悠子ちゃんの表情を見て、
4回転回避だな、と思った。そしてそれは良い選択ではないな、とも。
スポーツである以上選手は難度の高い技に挑戦したいだろう。
タマラはコーチとして銅メダルでいいから取らせたかったんだろう。
ただトップ選手が直前に難度を落とすと決めたプログラムを滑りきる姿は
そう多く観られるものじゃない。案の定、精彩を欠いた演技だった。
観てるだけで辛くなるようなミスの多い演技。途中で肩もはずれた。
演技前から最終組の中で川スミが表彰台乗りするとは到底思えなかった。
それは組んで日が浅いからじゃなくメダルに対する執念が足りないから。
というより、以降の3組のメダルに対する執念が強すぎるから。
才能はある。どう見たってある。
4年後まで競技を続けるのかなぁ。
全ての要素をほんの少しずつ進化させるだけでもっともっと強くなれる。
たった3季でここまで強くなったんだから。


18番目サフソル。SP2位・FS3位・総合3位。

3T+3Tシークエンスが3T+2Tになった。2Aでロビンが転倒した。
ミスと言えるのはそれだけ。でも、それだけで金メダルは遠のいた。
思えばサフソルはノーミスをSP・FS揃えて優勝したことが少ない。
銅メダルに終わった理由はそういうことなんだろう。
たらればを言えばキリがない。
ヨロ選で優勝していればPCSがもっと高かったとか、
思うことは本当にたくさんあるけど置いといて。
良いプログラムだった。良い演技だった。感動したよ。
技術に裏付けされた、気持ちのこもった完成度の高いプログラムだった。
観てる側はそれだけでいいじゃん、と思ってしまうが、
演技後のサフ子はもうずーっと泣きそうでさぁ!
そんなに落ち込むなら4年後も目指してほしい。本当に。
ロビンが34歳になってしまうけど宏博兄さんは応援してくれてるよ!

http://vancouver.yahoo.co.jp/news/cdetail/201002160008-spnavi
最後の質問でドイツの記者が「二人はトリノ五輪で銅メダルに終わったときは落胆したと思う。今回銅メダルでがっかりしている(ドイツ代表の)ロビンをあと4年間頑張るよう説得してほしい。何かアドバイスを」と頼むと、趙宏博は 「金メダルを取るのに、(僕みたいに)36歳まで待っちゃだめだよ」と答え、会見は笑い声に包まれて終わった。



19番目パントン。SP4位・FS1位・総合2位。

この演技を観て感動しない人はフィギュアスケート好きじゃないと思う。
SP2位と3位の組にミスがあって、4位の自分たちにチャンスが巡ってきて、
そして演技する場所は五輪。4年に一度の、前回4位に終わった五輪。
それなのに緊張感は良い意味でしか感じられず。
選曲が良い。プログラムが良い。その上ミスがひとつもない。
パンちゃんが思いっきり楽しそうで会場は要素を決めるたびに大歓声で。
久石譲の編曲はいいね!なんて思う暇も、
(ニコライ・)モロゾフが作り直した衣装が美姫ちゃんぽいと思う暇も
なーんにもなく、ただただ凄い演技を今観てるんだという実感と
これがパントンの本気の演技で今は五輪なんだという恐ろしさと
色々織り交ぜた結果どうしようもなくなってずっと泣いていた。
脱線。
ふと思い出すのはシェンツァオいわく芸術性があがったキッカケは
交際し始めたからだそうで、まあそういうこともあるよなと思った。
で、パントンは本日中国メディアで公開告白をなさいました。
付き合ってるって噂は本当だったのかよ。
演技後リンクにキスしたトン君は本当はパンちゃんにしたかったとか
なんか色々と記事が上がってきている様子。
どんだけラブラブやねん。こっちが恥ずかしいわ。
ペアはダンスに比べて付き合ってる人多いよなー。
危険な技が多いから吊り橋効果とかあるんだろうか。
閑話休題
FSは1位だった。結果銀メダルになったのは
SPもFSもデススパイラルでLv1しか取れなかったから。
たしかにパンちゃんの腰の位置が高いなぁとは思った。
シェンツァオとそれしか差がないほどに上手くなっていたんだな。
FSにいたってはサフソルよりPCSが出たくらいに。
本人たちも納得の2位。感動した!


20番目シェンツァオ。SP1位・FS2位・総合1位。

ほらね、という感じ。予想通り余裕だった。
余裕というのは技術的な面じゃない。
宏博兄さんは2Aの着氷がブレたし、リフトでまさかの落下もあった。
技術的なピークは過ぎている。スロウジャンプも昔より低い。
それでも余裕なんだな。
リフトが落下した後、ツイストを成功させて宏博兄さんは笑顔。
やったねーとでも言いそうなくらいに笑顔。
その後のスロウジャンプは雪ちゃんが着氷に耐えて二人で笑顔。
楽しそうに滑る。
私がフィギュアスケートを見始めたのは長野五輪から。
そのときもシェンツァオはいた。
今とは別人のような高いジャンプだけのペアだった。
雑技団が氷の上に立っているだけのシェンツァオはもういない。
シェンツァオは技で点を稼ぐだけのペアじゃない。
楽しそうに滑る。
PCSに9点台が並んだ。
五輪らしいインフレ採点だけど、この評価は嘘じゃない。
時代を代表するスケーターの一部始終に立ち会えたなぁと感慨深く思う。
雑技団時代も03ワールドの完璧な演技もずっとずっと見てた。
氷上プロポーズは生で観た。
悲願の金メダル、心からおめでとう。
1本の映画のような、凄い人生だよね。


映画になりそうというならヤオ・ビンの方か。
中国という閉ざされた国で独学で一から学んだスケートは
選手時代花開くことはなかった。それどころか最悪だった。
コーチになった今、教え子は3組とも五輪の舞台に立った。
ヤオ・ビンが選手たちに獲らせたメダルは、
オリンピックだけでも金1銀2銅2。
悲願の金メダルという言葉はヤオ・ビンの方が似合うかな。
んー、まともに一緒に映ってる写真がないなぁ。