難しいムズガユイ話。

オリジナルのCDをごみ箱に捨てる若者
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 僕の世代というのは、微妙に歌詞カードやCDのジャケットにこだわる世代なのだが、実は僕の場合はそれも捨ててしまう。CDを買ったときについているオビ(帯)などもきちんと保管しておけば、いつかオークションに出したり、中古屋に売りに行くときに高く売れるのかもしれないが、僕の場合はまずそんなことはしないので付属品一式は気にしないで捨ててしまうわけだ。


 さて、そうして買ったCDのジャケットとCDケースを捨てながら、音楽だけを楽しんでいた僕だが、それから7年ほどたってから、ちょっとした衝撃を受けることになる。一言でいうなら「ああ! 僕とは世代が違うんだなあ」という衝撃だ。
(中略)
 そんな会話を交わした後、早速、彼はパソコンに買ってきた音楽CDをインストールして聞き始めた。しばらくしてから、ふと彼の方を見ると、ジャケットと音楽CDのケースをゴミ箱に捨てる様子が目に入った。


 その様子を見て、「ああ、君も音楽CDケースを捨てるんだ」と、なんだか“共感”のようなものを感じて話しかけた僕に対して、彼は信じられないような返事を戻してきた。「いや、CDケースだけじゃなくて、全部捨てるんです」。


 実際にゴミ箱の中を見せてもらうと、昼休みに買ってきた音楽CDがそのまま捨ててある。「もうiPodにインストールしちゃったので、オリジナルはいらないんですよ」というのが彼の説明だった。彼の考え方は、僕の古い“クール”な考え方よりも、よほど進んでいる。それはこういうことだ。


 パソコンに圧縮して格納しておけば、またその音楽CDが欲しくなったらCD-Rに“焼直せば”復元できる。そういうと、「一度圧縮してしまったら、オリジナルの音質には戻らないよ」と思う方もいると思う。僕もそう思ったのだが、「圧縮した音楽とオリジナルの音楽の違いは、人間の耳には区別できないでしょ」というのが彼の考え方である。


 だとしても、だ。オリジナルの音楽CDを捨てたりしないで、僕にくれればいいじゃない……。そんな風に思うのだが、「それは違法コピーと変わらないですよ」という返事になる。


 誰かの手に渡ると、その分、その誰かが買うかもしれなかった本来の音楽CDが売れなくなるかもしれない。それではアーティストに迷惑がかかる。だから彼自身の手できちんと捨てることが彼にとっては大切なのである。


 僕と一緒に働いていた若者は、彼自身がアマチュアの音楽アーティストだったこともあって、彼自身の中でそのような“規律”が、彼のルールとして機能していたのだ。そのうえで、僕よりも進んだ考え方で、「オリジナルの音楽CDは場所を取るだけで、ただ面倒なものだ」というところまで考えが進んでいたのである。

話はこの後、著作権及び知的財産権の居場所へ話が移るのでそれも興味深い。
以下は記事内容から反れる自分の考え。


CDをたくさん持っているとソフトケースが欲しくなってくる。
ソフトケースってこんなのね→コレ
コレすらもう古いのか…と既についていけていない私は年齢だけの若者。
個人的にはMP3音源とCD音源の違いくらいは耳でわかるので
この記事の若者の主張は納得いかない部分も多々あるけれど、
言っていることは権利的にも音楽を楽しむという意味でも間違いはない。
記事に関して言えば、こうやって自分の中に規律を作り、
権利を守っている人に対して、法律がついていってない状態の方がよっぽど問題。


音源をPCに落として聴くという最新の形。
あくまでもアーティストはアルバム・シングル単位でCDを発売するので
iTunesではジャケットや歌詞カードのDLも始めているということや、
「初回限定紙ジャケ」などと銘打った商品が増えていることなど、
CDを買うと何が得られるかって音源以外のものばかり。いわば付属品。
CDは嗜好品・ファン限定のものとも言える。
それが現在のCD不況と言うのならば理解はたやすい。
ジャンルが豊富になってきたから個人の趣向が多様化した、とか
そんな数字に出にくいことを主張する方が間違っている。


ただ、これを「多くの人が音源そのものにしか興味を示さなくなった!」と
明るく前向きに考えるのはどうだろうか。無理があるなぁ。
加齢と関係なく昔はCDを買っていたのに最近買わなくなった人に聞いてみたい。
なんで買わなくなったのか、それともネットでダウンロードしてるのか。
今年のチャートがジャニーさんの息子たちで埋め尽くされた理由はそこにあるから。
ネットDLチャートはあるけれど、曲単位だから単純計算できなくて参考にならないし。
ウィニーとかのファイル共有ソフトを取り締まるよりも先に、
「完全に完璧なネットダウンロード」が出来れば一般のファンはそうするよ。
だって手を出しやすいもの。この曲いいな、でポチっとするだけ。
ただレコードからCDに移行したときのように媒体が変わっただけの話なのに、
こんなにもムズムズするのが「形ないもの」を取り締まることの難しさなんだろう。
取り締まろうとするばかりにiTunesで扱わない音源が出てきたり、
権利の話をすれば問題ばかり出てくるなぁ。


上の文は私の奇麗事。ネットDLは権利うんぬん以前に好きになれない。
「『音楽を身近に手軽に』はイコールで音楽(芸術)の軽視でもある」、
そんな風に考える私はずれていないと祈りたい。
形あるものを買う方が気持ちの良いことだと信じてる、
それを古いと言われれば、あぁ古いですよ、と強く言います。
レコード信者のようにCDという媒体にしがみつく、古い考えだなぁ。