僕といっしょ/古谷実

僕といっしょ(1) (ヤンマガKCスペシャル)

僕といっしょ(1) (ヤンマガKCスペシャル)

1998年ヤングマガジン掲載。全4巻。


父親の暴力により家を飛び出した先坂兄弟。
向かった先、東京で不良少年イトキンと出会う。
やがてイケメンカズ君も交えて吉田家に居候。
ってそんな説明はどうでもいいやな。
そもそもストーリーを書くことに意義を感じないし。


重要なのはあやこが抱く疑問。
「人生って何?」
んー、なんて馬鹿らしい。
私はこういうことを切実に考えちゃってる人が大嫌いだ。
しゃべり場なんかでよくいるタイプ。
”私はいつも考えてるんです、不真面目なナリをしていても、
中身はとっても純粋なんです、あなたたちとは違うの、
どう?考えてる私ってすごいでしょう?”
あぁ気持ち悪い。
こういう方々を見るたびに突っ込んでやります。
「キサマの分際で人生に意味なんて求めるんじゃないよ バカ!
ずーずーしーんだよ オレ達ゃ所詮サルなの!
サルなのに無理矢理意味つけよーとしちゃいけないの!
そーやってイミイミ言ってる奴ほどヒマで腐ってる証拠だ!
テメーの質問は「宇宙ってなぁに?」って言ってるのと大して変わらんのよ!
わかる!?そんな事考えるヒマがあったらSEXしろってんだよ
このバカ女!」
これを言い放ったすぐ夫君はこの後明らかに人生を模索します。
自分の人生を見つめ直し、他人の人生を思いやる、
もちろんぶっきらぼうだし、やり方は間違ってるし、
良い結果が生まれることなんてナイんだけど、
それでも死は選ばないし、「死にたい」はない。


私はこの本に哲学を感じる。
別名・生き方指南の書とも呼んでいる。
もし、何も考えずにギャグ漫画として読んだ人がいるのなら、
もう一度読み返して欲しい。
稲中の中でまとめきれなかった思想が
古谷実の書きたかったこととして描かれているから。