行け!稲中卓球部/古谷実
- 作者: 古谷実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1993/10/29
- メディア: コミック
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累計発行部数2300万部という大ヒットギャグ漫画。
ある中学の卓球部を舞台に繰り広げられるドラマではない。
ただ個性的なキャラクター達が、そりゃもう迷惑なくらい迷惑を掛け、
画面いっぱい動き回り、印象的な言葉を多々残していく。そんな漫画。
って違うかな?とりあえず私にとってはこう。
私はこの漫画を単に「ギャグ漫画」と呼ぶのにひどく抵抗がある。
1〜3巻はともかく、それ以降の流れはシュールとしか言いようがない。
前野の考え方はいつも退廃的で、終末感に溢れている。
楽観的になりきれてないあたりの現実味は、怖いとすら思う。
「遠慮して生きてこーぜ」っていうのは何巻だかの帯の言葉だが、
後半のテーマはずっとこれ。
象徴的なのが6巻の「その69 不美人」。
一般に言う不美人が護身術を習っていて、それをやめさせようとする話。
私はたぶん稲中の中でこれが一番好きなのだけど、
2001年に古谷実が描いた「ヒミズ」を読むと、これが笑いでなくなる。
「オレは一生誰にも迷惑をかけないと誓う!
だから頼む!誰もオレに迷惑をかけるな !!」
ギャグ漫画家が次に激シリアスなものを描くことはよくあるが、
古谷実に関してはそれが顕著だ。
この人にはこのテーマを描き続けて欲しいな、と思う。
形がギャグであれ、何であれ。
ただ、私はやっぱり稲中が一番好きです。
いまだに湖を見れば「飲んでやる!」と言います。
最後2話で泣きます。
たぶん、そんな人間私だけ。