西荻夫婦/やまだないと

西荻夫婦 (フィールコミックスGOLD)

西荻夫婦 (フィールコミックスGOLD)

2001年フィールヤング連載。
今時の夫婦の在り方を淡々と描く1冊。
仕事、友達、近所付き合い、全部ちゃんとある。
足りないものがあるわけじゃないけど、それでも、
「ときどきそれがうそくさく、ときどき他人事のよう」。
夫も妻もひとりでは生きていけないとわかっているのに、
依存しきるのにも抵抗がある。
怖い、という感覚。


両親に悪いと思いながらも子供を作らなかったこと。
私は私のために私の時間を消費していること。
うしろめたい、という感覚。


終盤、漫画の間に挟まれる8ページにわたる文章が好きだ。
連載時にはなかったらしいこの文章、
これがあることで、この本が私にとって大切な1冊になった。
大声で文句を言う程の不満なんてないからこそ、
「いつの日か世界が終わるのを想像して泣くのが私の趣味」になる。
なんだかんだで結婚ってのも悪くないんだな、と。