2006年カルガリー世界選手権のサーシャ・コーエンまとめ。

恩田美江が私の涙腺を緩ませようとする。この記事↓に関して。
http://iceblue.cocolog-nifty.com/figure/2006/03/1111_314e.html
私はジャンパーよりも表現力がある選手が好きで恩ちゃんの演技は好みじゃない。
それでも応援し続けるのは彼女がこういう性格の持ち主だから。
ひた向き、素直、一生懸命、そんないちスポーツ選手の姿にただ涙。
メダリストになれなかった選手の行く末を私は知らない。
だけど、こうやって来季へ前進することを決めた恩田。格好良いね。


本題。(ここから文章が支離滅裂極まりない感じ)
サーシャ・コーエン公式HPの文章に関して。
http://www.sashacohen.com/worlds06.shtml
3月25日より彼女の言葉を意訳(間違ってたらごめんなさい)。
「私は何年も前から涙を流し続けてきたけど、もう涸れ果ててしまった。
 自分に失望してしまった。
 もっと自分を外面的に理論的に見つめなおして、これからに役立てたい。
 それは私がするべきことをわからせてくれて、涙をとめてくれる。」
(世界選手権フリーについて)
「苛立たしくて失望した。でも、これが私の最大の努力に対する結果。
 私はプログラムを通して戦った。精一杯頑張った。」
これからのことはChampions On Iceでアメリカを周ってから夏の間に考えるそう。
何を?引退を?続行を?

<予選総合5位>
明らかな失敗は3つ。
中盤の3F転倒、3Tステップアウト、3S転倒。
前半では3Lz+2Tも決めて全体的な出来が良かっただけにもったいない。
転倒した3Fは本来3F+2Tの予定だったので大きな減点。
後半のジャンプをことごとく失敗することは予定していた加点もなくなるし、
見た感じなんとなくの印象が悪い。中盤から崩れるのはいつも通りとも思えるけど。


<SP1位 SP後1位>
初めの3Lz+2Tでルッツが両足着氷になってしまったこと以外は問題なし。
この減点を帳消しにすることが出来るスピンやスパイラルは全てがレベル4。
(ステップでレベル4を取ったことのある選手がいないのでこれはレベル3)
速さもあるし音楽にも合っていた、トリノ同様完璧と言っていい演技。


<FS4位 FS後3位>
今まで観た演技の中で最も悪かったと言っていい。そんな演技。
3Lz+2Tは無理矢理こらえて跳んだ状態。加点なし。
3Fと3Loはクリーンなジャンプ。綺麗なのはこの2つのみ。
コンビスピンはレベル4でポジションは綺麗だけど曲に合っているとは言えない。
予選同様、3F+2Tのコンビを3Fで両足着氷。コンビならず。
続く3Tは手つき。2Aは両足着氷。そして最後のジャンプ、3S転倒。
点こそいつも通りのものの、スパイラルすらふらついてしまった。
得点自体は予選より上。それでもこの失敗は許せない。
7つのジャンプ中5つを失敗。仮にも金メダル候補の演技なのに。
見せ場らしい見せ場もスピンくらいしか決まらなかった。
前半はジャンプに囚われたようなおざなりな演技で表現がないように見えた。
別にジャンプが決まらなくてもファンの私は楽しめる。
ただ、この表情も動きも固いだけの演技は私の好きなサーシャじゃない。


FSの演技、これでもTES、PCS共にそこそこの点がついている。
これがコーエンは新採点方式で得をしている、というのを表している気がする。
ジャンプをミスしても転倒さえしなければスピンやスパイラルで十分点が稼げる。
逆を言えばコーエンに大敗はまずないということ。
ある程度の順位は絶対に確保されていて、そこからの勝負。
表彰台と金メダルの価値の違い。金メダルはいかに失敗をなくせるか。
いつまで経ってもシルバー・コレクターと呼ばれ続けるサーシャが、
その汚名を返上するためにしてきた努力はいつも感じなところで報われない。
何かに取り憑かれてるんじゃないか、というほどのFSだった。
「ことごとく」という大会戦歴をひとつの演技で観てしまったような感覚。


公式HPの文章は最後に「良くも悪くも長いシーズンだった」と締められている。
長らくサーシャばかりを追ってフィギュアを見ているけれど、
サーシャが泣いている姿は一度たりとも見たことがない。
演技の失敗で悲しくて泣くということがない人なんだろうと思っていた。
もしかしたら、失敗=自分に呆れる、というように自分を責める人なのかなと思う。
そんなに責めなくても、観客の少しの拍手で演技中にこにこ喜んでしまうような、
無邪気な姿の演技をしているだけでも見ている方は満足するのに。
結果さえ求めなければ今のままの演技で一番好きな色のメダルが取れるのに。
FS後呆然とした顔つきのままだとそういう単純なことがわからないのだろうか。


来季、サーシャは競技のリンクに立つのかな。
相性の良かっただろうコーチのニックス氏との契約は確か今季で切れてしまう。
おじいちゃんコーチの最後の仕事に優秀の美を飾ってあげられなかったね。
サーシャ自身の精神面に加えてこういう状況、楽な未来ではないけれど、
やっぱりまだまだサーシャの演技が見たいです。
ボロボロ演技でもサーシャを応援したいです。




加えて、今回の世界選手権の五輪後らしい世代交代はとても華々しいものだった。
1位キミー・マイズナー(USA)は3-3コンビを2度、更に2A+2T+2Lo、という
チャレンジャー的プログラムをほぼノーミスで決め、文句なしの優勝。
他にも新採点方式のためにジャンプを強化してきた選手がどんどん出てくるわけで、
3-3や3-2-2が跳べない選手が上位に入ることは難しくなっていく。
これをレベルが上がっていくと捉えなければいけないのがくやしい。